自閉症スペクトラム(ASD)の子どもの運動と指導について

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本日は自閉症スペクトラム障害のお子様に向けた運動特性や運動指導についてご紹介いたします。

まず初めに、自閉症(ASD)とは、社会的相互作用における質的な障害・コミュニケーションの質的な障害・行動、興味、活動が限局され反復的で常同的な行動様式といった3つの特徴を有した障害とされております。自閉症、高機能自閉症、アスペルガー障害など幅広い概念としてとらえられています。

以前から、ASD児には多様な運動の困難さがあることを指摘されており、衣服の着脱に時間がかかる、ボールのキャッチが困難、文字をきれいに書けない、靴紐を上手に結べないといったものが挙げられます。

上記のような運動の困難さは生活全般に支障をきたす可能性があり、自尊心の低下、集団からの孤立といった二次的な心理社会的問題も懸念されております。

つまり、このような問題を防ぐためにも運動に焦点を当てた発達支援を実施していくことが重要になります。また、ASD児に行う運動指導は、専門の指導員や現場の役割が大きなものとなっております。効果的な運動指導を行うためには、子どもの特徴を詳細まで理解する必要があります。


ASD児が苦手な運動の代表例

・身体を使った模倣運動

・バランスなどの姿勢運動

これらを特に苦手とします。最近では研究とともに、運動に対する困難な動きや苦手とする動きが明らかになってきています。しかし、問題解決を目指した発達を促進するための場はあまり確立されておりません。運動に困難さを示すお子様にどのような運動指導を実施するのが良いかあいまいな状況といえます。この背景には、発達支援の現場において運動面の発達促進が軽視されがちになっていることが挙げられます。ほかにも、運動の困難さを評価する際に、課題への動機づけや特有な行動上の問題が運動成績に影響するので、ASD児が本来持つ運動能力の測定が難しいことも推察されています。

このような現状を解決するために、新たな研究が欧米諸国で盛んにおこなわれており、運動のプロセスに焦点を当てた研究は、新たな知見の提供とともに、具体的な運動指導に有効なものとなりました。

それでは、ここから本記事の内容である運動のプロセスについてや、運動遂行における特性を理解、運動指導法についてご紹介いたします。


1.運動の問題

ASD児を対象とした研究は上肢を使用した単純な県y空となっております。特定の運動を実施する際の上肢運動時間、所要時間、反応時間、対象物との距離をどのように把握しているかなどの研究が行われました。

ある研究では、机の上に置かれた対象物を手で持ち、指定された場所へ移動させるといった運動課題です。平均年齢6.5歳の定型発達児(普通の子)8名平均年齢6.2歳のASD児8名を対象に、食べ物をつかみ、口に入れるといった単純な運動を分析しました。定型発達児は、食べ物に手を伸ばす段階から口の筋肉に反応が見られましたが、ASD児では口に運ぶ段階で口に反応が見られました。ほかの研究では、大小の箱に対象のものを入れる運動を実施しました。その結果は、定型発達児は対象物に向かって手を伸ばす段階で箱の大きさを意識し、手を動かす速さを遅くするなどの運動調整が見られる一方、ASD児ではそれらの調整は見られず、大小どちらの箱の大きさであっても手を伸ばす段階の運動の速さに変化が見られなかったことが報告されています。これらの特徴からASD児の運動が、一連の運動を一つのまとまったパターンとしてではなく、独立したものとしてプログラミングされていることが指摘されており、ゴールを意識する予測の困難さが要因としてあるといわれています。

そのほかにも、定型発達児は、直前に行った運動に関する情報を利用しながら反応時間を短縮させ、効率よく動くことで課題を遂行していきますが、ASD児は前に行った運動に関する情報をうまく利用することができないことを指摘しています。


2.ASD児に効果的な運動とは?

ASD児には運動の効率化が困難であり、特に運動に先立つ予測の問題が一つとして考えられています。このようなASD児にみられる運動の問題を改善することや、ASD児の運動技能を向上させていくためには質の高い効果的な運動指導を行う必要があります。体育教師やスポーツ指導者、自閉症などの知識や理解のある指導者の存在が重要です。

先ほど上肢の単純な運動課題でおきた困難さが見られたが、それらは協調性運動の問題として捉えられることができ、一般的に「不器用」といわれます。ASD児への運動を考えるうえで非常に重要な概念の一つが発達性協調運動障害(DCD)です。DCDとは、脳性麻痺などの身体疾患が見られないが協調運動を必要とする日常的な運動技能が著しく劣っている状態とされています。

ここまでの内容で、ASDは社会性の問題を主とする障害群ですが、上記でも述べてきたように運動の困難さを示す場合も多く、ASDとDCDを併存しているケースも少なくないようです。つまり、ASD児の発達支援は、社会性の問題だけでなく運動面へのアプローチも必要となります。ここで必要になるのが、DCD児にたいして行われる運動面に特化したアプローチをASDの特性に適合させていくことです。


DCD児の効果的な運動指導法は2パターンあるといわれています。

1. 運動発達の遅延や阻害の原因と考えられる脳の機能などに焦点を当てる過程指向的アプローチです。

このアプローチの代表的なものが感覚統合療法です。主な活動はブランコなどの器具を用いて身体をゆする、回転するといった活動があります。

2. もう一つが困難な運動に直接働きかけ、運動スキルの獲得や向上を目指す課題指向的アプローチです。

この課題指向的アプローチは、子どもが苦手とする運動に直接焦点化し、運動スキルの向上や獲得ができるのです。つまり、ASD児には運動課題の問題を克服して課題を達成できるような運動の指導が必要になります。


ではこの課題指向的アプローチにはどのようなものがあるのでしょうか?

運動で行う、ボールのキャッチやキック、ジャンプなど苦手とする課題に直接アプローチします。代表的なアプローチに認知運動アプローチがあります。認知運動アプローチとは、指導者が子どもに運動を実施するのではなく、子どもの考える力と自己決定による動機づけを行っていきます。これは、運動課題を達成できるようになるため、子ども自身が発見学習をする過程を我々は援助するのです。運動課題の達成ができない原因を一緒に考え、運動スキルの獲得に対する方法を考えるのです。このようにして養われた力は、広範囲な運動課題を達成する際にも応用ができるため様々な工夫で実施されています。

ASD児の運動には、専門の体育家庭教師による運動指導の実施や、家庭内での運動の取り組みが効果的とされています。

このような認知運動アプローチによる運動指導は、運動課題の克服に友好的であるといわれています。実際に行われた研究でも、平均年齢7.4歳のDCD児に片足ジャンプ、ボール蹴り、ボールのバウンドキャッチなどの課題を9週間で20セッション行ったところ、それぞれの課題において成績が向上する結果が出ています。

以上のことから、DCD児に対する課題指向的アプローチは説得力の運動指導法といえます。運動に困難さを示す子供への指導法として期待ができるのです。多様な運動経験を促すような運動指導の実施や、運動に対する課題を発見し、修正するためのフィードバックなどが必要となりますここでASD児に話を戻していくと、ASD児における運動の困難さは運動の効率性を高めていく過程の問題であり、要因にはゴールを意識した運動の調整能力、次を予測する能力など、認知的な能力に問題があると考えられます。課題指向的アプローチでは運動学習という共通の理論を背景として説明ができます。このことはASD児の運動技能の向上に有効的なアプローチとされています。


まとめ

ここまで述べてきたように、ASD児は運動の効率化に困難さがあり、その用委員にはゴールを意識した運動の調整、予測能力などが挙げられます。この結果から、ASD児の運動指導は、運動学習上の問題としてとらえ、理論から導き出される運動方法を行う必要があります。特に粗大運動(立つ・歩く・走る・座る)といった身体を大きく使う運動においての困難さも見られるため、その課題を克服する運動指導の実施が重要となります。

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【キッズパーソナルトレーニング 体幹&知育】マチトレ麹町店

東京都千代田区麹町に唯一ある子どものパーソナルトレーニングジム。体幹トレーニングとマチトレ個別のキッズトレーニングプログラムで子どもの発育発達促進や怪我の予防、運動神経向上を目的として小学生に必要な運動スキル獲得をコーチングしていきます。放課後トレーニングで運動の苦手を克服して運動の楽しさを発見しもっともっと自分を好きになるブレない自分軸を作ります。子どもの健康と運動能力向上知識をブログで発信!!